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今年、一年間、様々な絵本を読んできた中で、「だいくとおにろく」の昔話の劇をすることにしました。絵本の中に出てくる昔のことばやだいくとおにろくのやりとりの面白さに興味をもったり、だいくの気持ちは「どんな気持ちだったんだろう」「おにろくは、どう思っているのだろう」など心情を考えたり、絵本を1ページ1ページ振り返りながら劇遊びを進めてきました。一人一人が主体的に取り組み、友だちとイメージを共有し協力しながら、みんなで考えて作りあげてきました。
「だいくとおにろく」の劇遊びを、みんなでたくさん遊んでから、自分でやりたい役を決めました。役が決まると、同じ役のグループに分かれて台詞を考えたり、「ここはどんな風に言ったらいいかな・・・?」と相談したり、「一回、やってみよう!」とやりながら「やっぱり、ここは、こうしよう!」と考えたり、子どもたちが主体的に進める姿が見られました。
劇に必要な道具は、どんな物が必要かなど、同じ役のグループで考えを出し合い作っていきました。「鬼の角は、どうやって作ろうかな?」「絵もいるよな・・・?」など背景の絵をどうするか、実際に絵本を見ながら役割を決めて、分担して絵を描いたり、色を塗ったりしました。それぞれ、様々な素材を使って自分なりに工夫しながら作り、出来上がると友だち同士見せ合い、劇遊びで存分に使って遊びました。
劇あそびを重ねていく度に、お話しの世界に入り込み、イメージがどんどん膨らんでいき「こんな風に台詞言おう」と考えたり、身振りも「ゆっくり大きくしたほうがいい」「こうしたら川が早く見えるんちがう?」など自分たちでアイデアを出し合って工夫していました。らいおん組の友だちがお客さんになって見てもらうと意欲が増し、「がんばるぞー!」と声をかけ合い、それぞれが、力を発揮し堂々とした姿で表現していました。
日本の昔話や季節の絵本、物語など毎日の読み聞かせの時間を楽しみにしている子どもたち。「じごくのそうべえ」の絵本は「よんで!」と何度もリクエストが出るほど大好きな本でした。このお話は、登場人物がみな関西弁。面白おかしく地獄から脱出する様子を子どもたちは、毎回大笑いしながらみていて、「劇遊びもこれがしたい!」と決まりました。
お気に入りの場面は、”じんどんき”が登場し、飲み込まれ、おなかの中でいたずらするところです。「おなかの中って暗いんちゃう?」「目つぶってあるこうよ」「こちょばすで」「もっと引っ張ってみよ!」「いくで~!」と役のグループで集まりアイデアを出し合って、「おもしろくなるで」「見てくれる人笑ってくれるかな」と見てくれるお家の方にも思いを巡らせ、セリフや振付なども子どもたちが考えながら、劇遊びを進めていました。
子どもたちの想像する地獄が表現できるように環境を整えることで、子どもたちは、「地獄の風景ってどんなんやろ」「じんどんきの鼻大きくしよか」と相談しながら背景や大道具、小道具をコツコツ作り上げました。地獄は手形で表現しましたよ。
当日がやってきました。本番前には各役ごとに「がんばるぞ!」と円陣を組み、やる気いっぱいの表情でリズム室に向かう姿が頼もしくありました。精一杯やり終え保育室に戻ってきた時には、やりきった晴れ晴れとした表情が印象的でした。
自分たちが楽しむことを大切にしながら、見てもらうお客さんにもお話の面白さ、怖さはどうしたら伝わるのかを考えて進めた子どもたち。他学年の子たちがお客さんとして来てくれて劇を見て笑ったり、「そうべえの劇に入りたい」「そうべえの歌教えて」と興味をもったりする姿を見て、「面白さ伝わったかな」「笑ってくれて嬉しい」と喜んでいました。「はよいかんかい!」「いたいな~」と輪になって地獄へ行くところでは、他のクラスも混じって遊びました。「はよこいって誘った方が怖いんちゃう?」と誘い方も考えていましたよ。そうべえの歌やダンスを教えにいったり、一緒に歌をうたったりなど異学年との交流も深まっています。
5歳合同で歌をうたいました。子どもたちにとって保育所で過ごした友だちとの大切な時間は、大きくなっても心に残っていて欲しい。そんな願いも込めてこの歌にしました。「”イエーイ”のところはピースしたい」とみんなで笑顔いっぱいにピース!!きっと大きくなっても、みんなともだちです
お話の中で感じたことや考えたことなど様々なイメージを形にして自己表現しようとしたり、友だちと相談し協力しながら工夫して取り組んだりする姿がありました。子どもたちの楽しみ活動する姿を十分に認めてもらった経験は、次の意欲へと繋がります。修了式まで残り1ヶ月になりました。一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。