生活保護の申請に関する事前相談及び受付時における市議会議員の同席について（令和6年8月16日）

１　概要

　本市では、生活保護の申請に関する事前相談及び受付時に市議会議員の同席を拒否する対応をしてきました。

　しかし、そのことについては、テレビや新聞でも報道されてきたように、社会的にも批判が寄せられていました。

　今般、本市としては、関係法令等を改めて精査し、諸問題を検討した結果、従来の対応を見直して他の多くの市町村と同様の対応をすることとし、生活保護の申請に関する事前相談及び受付時に市議会議員の同席を認めることとしました。

２　従来の対応に至る経緯

　本市が生活保護の申請に関する事前相談及び受付時に市議会議員の同席を拒否する対応をしてきた背景には、平成２３年２月１８日に開催された香芝市議会議会改革特別委員会において、「市議会議員が同席することは政治倫理条例第２条第１項に抵触する」という香芝市議会としての見解が示された上、同席しないこととすることが取り決められ、本市としてもその内容に沿った対応が求められてきたことがあります。

　その後、令和２年頃までは、生活保護の申請に関して、事前相談と受付という各段階を区別し、事前相談時には市議会議員の同席を認め、申請の受付時に限って市議会議員の同席を認めないこととする対応をしてきた時期もありますが、令和３年頃に再び前記取決めに関する事項が香芝市議会において議員から取り上げられるようになった時期以降においては、生活支援一般に係る相談はともかくとして、生活保護の申請に関する事前相談及び受付の両段階において市議会議員の同席を拒否する対応をするようになりました。

　その後、令和５年９月頃になると、そのような対応をし続けることの根拠として、相談者又は申請者の扶養義務者等の第三者の個人情報を保護することを挙げるようになりました。

３　対応を見直すことの根拠

　令和６年６月３日に就任した三橋市長から、生活保護制度が日本国憲法第２５条に規定する国民の最低限度の生活を保障するものであり、生活保護の申請は国民の権利であることを再認識し、法律上認められた生活保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような対応も厳に慎むべきであることを踏まえ、従来の対応を適切に見直すように指示がありました。

　そこで、本市としては、関係法令等を改めて精査し、諸問題を検討した結果、主に次のとおり見解を改め、従来の対応を見直して他の多くの市町村と同様の対応をすることとし、生活保護の申請に関する事前相談及び受付時に市議会議員の同席を認めることとしました。

⑴香芝市議会議会改革特別委員会で示された前記見解は独自のものであり、本市としてはその見解を採用しない。また、前記取決めは市議会議員の全員が同意しているものではない上、前記取決めは本市が拘束される性質のものではない。

⑵相談者又は申請者の扶養義務者に関する照会（扶養照会）をする事項については、氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況に限られており、これらの事項については、通常の場合、氏名を除いて相談者又は申請者にも本市から開示することが予定されていないものである。

　また、扶養はそれが受けることができる範囲において生活保護よりも優先して行われるものであるが、扶養義務者と相談してからでないと申請を受け付けないとする運用は不適切であるから、扶養照会は生活保護の申請に先立って実施されるものではない。

　そうすると、相談者又は申請者からの聴取に当たって第三者が同席することが望ましくないと考えられる事項に言及するような例外的な場合を除き、生活保護の申請に関する事前相談及び受付時に市議会議員の同席を認めたとしても、扶養義務者等の第三者の個人情報を保護することに支障が生じることはない。

⑶過去の事例では市職員が市議会議員等から不当な要求を受けている可能性がある場合も見受けられるが、令和６年８月１３日付けで報道発表したとおり、市職員が市議会議員等から要望等を受けた場合等において、その内容を記録して公表することなどとした。

　これにより、仮に生活保護の申請に関する事前相談及び受付時に市議会議員から不当な要求を受けるようなことがあっても、組織的に適切に対応し、それによって申請に対する審査が左右されることがない体制を整備したので、市議会議員の同席を認めたとしても問題はない。

４　三橋市長コメント

　法律上認められた生活保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような対応も厳に慎むべきであることを踏まえ、従来の対応を適切に見直すこととした。

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生活保護の申請に関する事前相談及び受付時における市議会議員の同席について（令和6年8月16日） [PDFファイル／219KB]