本文
政治活動について
1 政治活動と選挙運動はどのように違いますか。
政治活動とは、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、または公職の候補者を支持し、若しくはこれに反対することを目的として行う直接間接の一切の行為」を指しています。
公職選挙法(以下「公選法」という。)では、この政治活動の概念から「選挙運動にわたる行為を除いた一切の行為」を政治活動とし、選挙の期間中の特定の団体(政治活動を行う団体)の政治活動の方法について、一定の制限を設けています。
また、選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者に当選を得させるため、投票を得若しくは得させる目的をもって、直接または間接に必要かつ有利な行為をすることをいう。」(昭52.2.24最高裁判決)と解され、政治活動とは観念的に区別しています。
なお、公選法では主として選挙運動について規制していますが、通常行われる政治活動についても規制している部分があります。
政治活動のルールを守りましょう
2 日常の政治活動に何か規制がありますか。
政治活動を行うことは、憲法で保障された権利であり、本来自由なもので何ら規制されるものではありません。しかし、政治活動の名目でも選挙の事前運動と見なされる場合は公選法によって禁止されています。
なお、選挙が行われていないときであっても次の政治活動については、一定の制限を受けます。
1 文書図画の掲示に関する規制(公選法第143条第16項)
公職の候補者等(現職、候補者、立候補予定者)の氏名や氏名類推事項(写真、似顔絵等)および後援団体(公選法第199条の5に該当する団体)の名称を記載した政治活動のために使用される文書図画については、次のものを除き掲示できませんので、注意を要します。
(1)立札・看板の類(のぼりを含む。)
ア 掲示場所 政治活動を行う事務所(公職の候補者および後援団体の事務所・連絡所)
イ 枚数 選挙の種類により一定の枚数以内で1事務所2枚が限度(発行枚数は、オの表参照)
ウ 看板の規格 縦150cm×横40cm以内(「足」の部分を含みます。)
エ 証票の貼付 当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会から交付を受けた「証票」を貼ったものに限り掲示できます。
※ 立札・看板の類は、事務所ごとにその場所で掲示されるものであり、事務所の実体のない場所や自動車等に取り付けて掲示することはできません。
また、選挙運動期間前に掲示したものであれば、選挙期間中も掲示しておくことができますが、選挙運動期間中に新たに取り付けはできません。
選挙の種類 |
証票発行限度枚数 |
証票交付申請先 |
|
---|---|---|---|
候補者等 |
後援団体 |
||
市長 |
6枚 |
6枚 |
市選管 |
市議会議員 |
6枚 |
6枚 |
市選管 |
(2)ポスターの掲示
公職の候補者または後援団体が使用する政治活動用ポスターのうち、ベニヤ板やプラスチック板などで裏打ちした状態のポスター(裏打ちポスター)、事務所、連絡所または後援団体の構成員であることを表示するためのポスターおよび選挙運動にわたるポスターの掲示は禁止されています。
また、それ以外の政治活動用ポスター、例えば演説会の開催告知ポスター等は掲示できますが、そのポスターには必ず、表面に掲示責任者および印刷者の氏名(法人は名称)および住所(法人は所在地)を記載しなければなりません(公選法第143条第18項)。
ただし、このポスターは、選挙前の一定期間(※注の期間)は掲示が禁止されます。
なお、この規制を受ける政治活動用ポスターは、公職の候補者または後援団体が使用するものに限られますので、後援団体となっていない「その他の政治団体」または「政党、政党の支部」の政治活動に用いられるポスターは、演説会等の「弁士」として掲載されている公職の候補者等が選挙に立候補した場合(掲示できなくなります。)を除き、一定期間内であっても規制の対象とはなりません。
(※注)
一定期間(選挙によって期間が異なります。)
- 衆議院議員総選挙・・・・任期満了の日の6か月前から、または解散の日の翌日から選挙の期日まで
- 参議院議員通常選挙・・・任期満了の日の6か月前から選挙の期日まで
- 地方公共団体の選挙・・・任期満了の日の6か月前から、または選挙事由発生告示の翌日から選挙の期日まで
- 補欠選挙・再選挙
- 単独で行う場合・・・・・選挙事由が告示された日の翌日から選挙の期日まで
- 長の選挙に伴い行う場合・・・議員の補欠・再選挙の告示日の翌日から選挙の期日まで
(3)演説会等の開催中に掲示するもの
政治活動のための演説会、講演会および研修会等の会場内で、開催中に掲示される立札・看板・ポスター等は、選挙運動にわたらない限り規格および枚数に制限はありません。
2 その他の規制
(1)解散電報の禁止(公選法第142条第13項)
衆議院の解散に関し、公職の候補者等の氏名または氏名が類推される事項を表示して、郵便等または電報により、選挙人にあいさつする行為は禁止されています。
(2)あいさつ状の禁止(公選法第147条の2)
公職の候補者等は、当該選挙区内にある者に対し、答礼のための自筆によるものを除き、年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これらに類する挨拶状(電報その他これに類するものを含む。)を出すことは禁止されています。
(3)あいさつ目的の有料広告の禁止(公選法第152条第1項)
公職の候補者および後援団体は、当該選挙区内にある者に対し、主としてあいさつ(時候のあいさつ、慶弔、激励、感謝およびその他これに類するあいさつなど)を目的とする有料広告を、新聞、雑誌、ビラおよびパンフレット等に掲載したり、テレビ、ラジオ等で放送することは禁止されています。
また、何人もこれらの行為を求めることも禁止されています(公選法第152条第2項)。
3 事前運動とはどのようなことをいいますか。
公選法は、選挙運動を選挙期日の公示日前または告示日前に行うことを禁止しており(公選法第129条)、形式上は合法的な文書図画であっても、実体において選挙運動と認められるものは事前運動となり禁止されます。
特に、選挙前に行う「後援団体の政治活動」については注意が必要です。例えば後援会の加入文書に投票依頼の文言を記載する、氏名を大書きする、写真や経歴を掲げ「○○を・・・大成させていただきたい。」等の記載をする、後援会事務所の所在や連絡先のない後援会の加入勧誘の文書の頒布、総会および講演会等の日時や開催場所を記載しないもの、開催場所の借り上げや使用許可のない講演会の開催案内等については、選挙運動性があると見なされるおそれがあります。
1 選挙運動にあたるおそれのある文書
「あなたの一票を○○党の候補者へ」、「○○○○君を国会へ送る会」、「○○党公認」、「立候補予定者」など
2 選挙運動とみなされないもの
- 立候補の準備行為・・・・政党の公認を求める行為、立候補のための瀬踏み行為、名簿作成、候補者選考会・推薦会の開催、立候補のために供託金を供託することなど
-
選挙運動の準備・・・・・選挙運動費用の調達、選挙事務所借入の内交渉、選挙運動員・労務者の内交渉、ポスター・看板等の作成など
-
政治活動・・・・・・・・党勢拡大、政策の普及・宣伝
-
後援会活動・・・・・・・会員募集など選挙運動にわたらない政治活動
-
社交行為・・・・・・・・通常の一般の範囲(寄附には一定の制限あり)
政治活動のルールを守りましょう
4 選挙期間中の政治活動で何が規制されますか。
政治活動は、選挙期間中であっても原則的には自由なものです。しかし、公選法では特定の選挙について、「政党その他の政治活動を行う団体(政治団体に限りません。)」の特定の政治活動を、選挙の公示の日または告示の日から選挙の当日の間に限って制限しています。
なお、団体とみなされない純粋個人が行う政治活動は、選挙運動とみられない限りいかなる時期であっても規制の対象とされません。
ただし、選挙期間中に当該選挙の候補者の氏名、氏名類推事項を表示した文書図画を頒布、掲示すると禁止された選挙運動にあたるおそれがあります。
1 衆議院議員総選挙期間中における政治活動
衆議院議員選挙における候補者届出政党または名簿届出政党等以外の政党その他の政治活動を行う団体は、政談演説会および街頭政談演説の開催、ポスターの掲示、立札および看板の類の掲示、ビラの頒布並びに宣伝告知の為の自動車および拡声機の使用については衆議院議員の総選挙の期日の公示の日から投票日までの期間禁止されます(公選法第201条の5)。
また、衆議院議員の再選挙または補欠選挙が行なわれる場合についても、同様にその再選挙または補欠選挙が行なわれる区域においては、選挙の期日の公示の日から投票日までの期間禁止されます(公選法第201条の7)。
2 衆議院議員総選挙以外の選挙における政治活動
衆議院議員総選挙以外の選挙で、参議院議員の通常選挙(再選挙または補欠選挙を含む、以下同じ。)、都道府県または指定都市の議会の議員の一般選挙(再選挙、補欠選挙、または増員選挙を含む、以下同じ。)、都道府県知事または市長の選挙が行なわれる区域においては、当該選挙の公示または告示の日から投票日までの期間、政治活動を行う団体の特定の政治活動が規制されます。
(1)確認団体制度
参議院議員の通常選挙、都道府県または指定都市の議会の議員の一般選挙、都道府県知事または市長の選挙が行なわれる区域においては、その選挙が公示または告示された日から投票日の前日までの期間一定の要件を満たす団体は、当該選挙が公示または告示されてから届出をし、確認書の交付を受けることによって、選挙期間中も(9)を除き一定の範囲内で、次に例示する政治活動ができるようになります。この団体を確認団体と呼びます。
この届出のない団体は、政党も含めてこれらの選挙の期間中、例示した政治活動が禁止されます。
- 政談演説会を開催すること
- 街頭政談演説会を開催すること
- 政策の普及宣伝のために宣伝自動車および拡声機を使用すること
- ポスターを掲示すること
- 立札・看板の類を掲示すること
- ビラを頒布すること(事務所に掲示してあるものを除く。)
- 選挙に関する報道、評論を掲載した機関紙誌等を掲示または頒布すること
- 連呼行為(政談演説会場、街頭政談演説の場所等で行われる場合を除く。)
- 候補者の氏名や氏名が類推されるものを掲示または頒布すること
(2)市町村議会の議員および町村長の選挙
市町村議会の議員および町村長の選挙においては、「確認団体制度」がありませんので、これらの選挙が行なわれている期間中であっても(1)3,8,9を除き政治活動が自由にできます。
ただし、これらの選挙が行われている期間中に「確認団体制度」のある選挙が同時に行われている期間がある場合、その期間中に限って、政治活動が規制されますので注意を要します。
例えば、市長選挙と市議会議員選挙が同時に行われるような場合には、市長選挙の確認団体以外は、政治活動が規制されることになりますが、市議会議員選挙が単独で行なわれているようなときには、連呼行為等一定の行為を除き、政治活動の規制はありません。
3 選挙期間中禁止される行為
政治活動を行う団体は、すべての選挙において、その選挙の公示または告示の日から投票日までの期間、次の行為が禁止されます。
(1)連呼行為
政談演説会場および街頭政談演説の場所においてする場合並びに午前8時から午後8時までの間に限り、政策の普及宣伝および演説の告知のために使用される自動車の上においてする場合を除きます。
ただし、選挙運動のための連呼とならないよう注意が必要です。
(2)氏名または氏名類推事項の使用
選挙期間中に掲示または頒布する文書図画には、いかなる名義をもってするを問わず、当該選挙区の特定の候補者の氏名またはその氏名が類推されるような事項を記載することは禁止されます。
(3)公共建物における文書図画の頒布
確認団体がその建物で政談演説会を行うときに頒布する場合を除き、国、地方公共団体が所有しまたは管理する建物において文書図画の頒布をすることは禁止されます。